窒化に関するQ&A

Q、窒化とは?

鋼の耐磨耗性などを向上させる目的で、窒素を鋼の表面に浸透拡散させ、表面を硬くする処理のことです。
一般に、表面から窒素だけを浸透させる純窒化と、窒素と炭素を同時に浸透させる軟窒化の2種類があります。

<当社の主な窒化の種類>
  1. ガス窒化法
    アンモニアガスによる窒化(純窒化)で、アンモニア(NH3)の分解により、 NH3+[Fe]⇔3H+[Fe]N という反応に基づいて行なわれます。
    すなわち、鋼の表面でNH3が直接分解した際に生ずる発生期窒素が鋼材中の含有元素と化合して窒化物を造り、これが時間の経過と共に内部に拡散析出して窒化層を形成します。
  2. ガス軟窒化法
    アンモニアガスと二酸化炭素を含む還元性ガスを使う窒化です。
    ガス窒化に比べ比較的短時間処理になります。
  3. イオン窒化法(プラズマ窒化)
    真空中のグロー放電を利用した窒化法です。窒素ガスと水素ガスをグロー放電の中へ導入し窒化反応を起こさせます。

Q、窒化に適した鋼種は?

窒化鋼、高速度鋼、合金工具鋼、炭素工具鋼、構造用工具鋼、ステンレス鋼などがあります。

Q、寸法変化はどのくらい?

窒化処理による変形はほぼありませんが、窒化層はわずかながら膨張します(約3%)。
(設計の際、化合物層の除去の場合と合わせて加味してください。)

Q、変形はどのくらい?

ほぼありません(しかし、前加工や前熱処理の状況により変形する場合があります)。

Q、ネジ部などのマスキングはできますか?

マスキング部の指示をいただければ、部分的に窒化防止をいたします。

Q、内部応力は?

窒化部分は圧縮応力を受けた状態で内部と釣り合いを保っています。

Q、浸炭との比較では?

浸炭焼入などによって表面を硬化したものは使用温度が高い場合は、焼戻されて軟化しその硬化が減少します。
しかし、窒化による硬化面は比較的高温まで表面かたさが低下しません。
窒化をすると鋼の表面がHv1000~1200くらいになり、浸炭にくらべて高い耐磨耗性があります。
また、窒化は変態を伴わないので、浸炭と違い変形はほぼない。

Q、窒化の納期は?

[標準]
ガス窒化:(例1)月曜AM入荷 → 金曜AM出荷、(例2)木曜AM入荷 → 月曜AM出荷
ガス軟窒化:中1日
イオン窒化:中2日

Q、処理可能材質は?

窒化鋼
クロムモリブデン鋼
炭素鋼
プラスチック金型用鋼
炭素工具鋼
合金工具鋼
ハイス鋼
粉末ハイス鋼
マルエージング鋼
フェライト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼
耐熱鋼
チタン材